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意のままに

第11章 日常~3~






「キキ・・・」
そこへ、ウリが器用に襖を開け、部屋へ入ってきた。
「ん?ウリか・・・どうした。」
入ってきたウリは秀吉ではなく、まっすぐになつの腕の中へ飛び込んだ。
「こら、ウリ。何で俺じゃなくてなつの方へ行くんだ。」

ウリの行動に、秀吉が少し、拗ねたように口を尖らせる。
「フフ、まあ、私は話せるだけじゃなく、元々動物に好かれやすい体質みたいだからな。」

なつはウリを撫でながら言う。


つぶらな瞳であたりを見回すウリは、なつの腕にしっかりしがみついている。

「ったく・・・飼い主の面目丸つぶれだな。・・・はじめは、自分への戒めのためだった。」
苦笑してウリの頭を撫でると、憂いを見せる。


戒め・・・それは信長が関係しているのか・・・?


「ま、最初だけだ。飼ってみたら案外かわいくて、ウリは二代目だ。買い始めた理由が理由だし、あんまり人に紹介はしてなかったんだけどな。」

そう、語る秀吉の顔はどこか儚い。

「当分俺は忙しくてバタバタしてるけど、うちに寄ったときにはかまってやってくれ。」
「ああ。」

うなずくと、秀吉は嬉しそうに笑みを返した。

「よし、久々に城下へでも出かけるか。」
「え・・・?」
「外はいい天気だ。閉じこもってたらもったいない。市を散策だ。反物屋の店主に挨拶して、甘味処にも行くか。」
「そうだな・・・」


明るく振る舞う秀吉に、なつはウリに最近の秀吉の様子を聞こうか迷うが、知った所で、どうなるわけではないと思いなおし、苦笑した。






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