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意のままに

第1章 トリップ



「遅い、蜜姫」

「っ…すみません」
「ん?光秀、なつはどうした?」
「あとから来ると。」
「あいつは!」
「ふん、まあいい。」
上座にどっしり腰を下ろしてるのは、織田信長…
その両脇に居並ぶのは、豊臣秀吉、石田三成、
明智光秀、徳川家康、そして…伊達政宗の姿もあった。

「何を呆けている?傍へ来い」
「はい…」
怖気づきそうになるのを堪え、信長の前へ進み出て正座する。
そこへ、再び襖が開かれた。

「勢ぞろいか。」
そこには、なつと何故か光秀の家臣の1人が傍に脇息を持って現れた。

唖然とする武将たちを後目に、なつは悠々と蜜姫の隣に腰を下ろし、脇息を受け取るとそれに凭れ掛かるように座った。
「!!お前、お館様の前で!!」
「フッハハッ!良い!貴様らはまるで対照的だな。」
「私は私だ。それに・・・いや、余計な発言は控えるに限るか。」
クク・・・と笑うなつはまるで光秀のようだ。

それから、信長は蜜姫のほうに視線を移し、2人は織田家ゆかりの姫として安土城に住むこととなった。

蜜姫は仕事が欲しいと願い出て、世話役と言うよくわからない役割が振られる。

「貴様はどうするのだ?」
「そうだな、蜜姫について暇なときには手伝うとしよう。」
曖昧に返事をするなつに秀吉が不振な目を向ける。
そんな秀吉にかまわず、信長はなつの顎に手を掛け顔を近付ける。

「ほう?ならば夜伽でもするか?」
信長の面白がるような問いに、なつはその手を叩き落とす。
「私はそんなに安くないぞ。」
妖艶に笑うなつの目の前に刀が突き付けられた。
それを隣にいた蜜姫は青ざめて見ていたが、突き付けられた本人は・・・
「いいのか?信長、自らが連れてきた私たちに刀を向けて。」
「「「「!!」」」」
「お前!!」
信長を呼び捨てにするなつに武将たちは息を呑む。
殺気を隠しもしない秀吉に、なつは悠々とあまつさえ笑みまで浮かべ、腰に差してあった鉄扇で刀も弾いた。



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