第8章 “声”
少しの沈黙のあと、それを破ったのは秀吉だった。
「お前の性格はある程度、理解はしてるつもりだ。見本もいるしな。だが、既にお前が信長様の気に入りだと周知が広がっている。何か、あってからじゃ遅いんだ。」
秀吉の真剣な顔に、なつは内心舌打ちをする。
話せば、いいんだろうがその後の、こいつの言い分が目に見えているからな・・・
「なら・・・もし、本当に何かあった時には知らせを送ろう。」
「は?」
「私は、完璧と言うわけではないが、動物と話すことが出来る。あ、これは誰にも言うなよ?もし、本当に、身の危険に晒された時には、この城にそれを伝えよう。」
「・・・本当に、そんなことが出来るのか?」
「フフ、秀吉、この後の仕事は?」
「えあ、取り敢えず御殿に帰るつもりだが?」
「なら、丁度いい。御殿に連れていけ。証明してやろう。」
なつはいつもの笑みを浮かべ、秀吉を急かし御殿へと向かった。