第7章 “仕事”
なつが次に向かったのは、ある山の奥深く。
途中、何羽かの鳥たちがなつの元に舞い降りていた。
「フフ、光秀のほうは予想通りと言ったところだな。顕如の奴は、また随分と用心深いことだ。」
光秀側の情報は動きがある度、鳥たちに逐一報告させ、顕如の隠れ家に関しても動物たちに聞きながら、慎重に近づく。
そして、第一の見張りがいる地点を超え、顕如が拠点としている古寺を見つけた。
なつは怪しい笑みを浮かべると、その場を離れた。
一方、安土城。
信長たちが湯治に出かけ、暫くしてから秀吉たちもその後を追い城内に残ったのは家康と政宗だけになった。
「おい、家康。なつ見なかったか?」
「俺が知るわけないでしょ。部屋にいないんですか?」
「おかしいな。秀吉から朝餉を届けるよう言われて持ってんだけどよ。さっき、見に行ったら全く手付かずで、部屋に戻った形跡もねえんだよ。」
「あ、もしかしたら城下にでも行ってるんじゃないですか?」
「城下に?何でまた?」
「秀吉さんの話だと、1人でフラフラ出掛けることも多いみたいですよ。」
「へえ。なるほどな。」
「何がなるほどなんですか?」
「あー、お前にも話しといたほうがいいな。実は・・・」
政宗は先日のやり取りを家康に話す。
「そんなことがあったんですか。」
「ああ、それに秀吉がなつを気に掛けてることも気になるだろ?」
おもちゃを見つけた子供のように目を輝かせる政宗に、家康はため息を吐く。
「まあ、日暮れまで様子を見ましょう。一応、城下には見回りの兵を出しておきます。」
「ああ、頼んだぜ。」