第7章 “仕事”
蜜姫を捕まえた信長は、馬を走らせる。
乗馬を教え、羽黒を呼び鷹狩りを楽しもうとすれば、それは子供によって邪魔をされる。
しかし、その子供らに狩りを教え、再び宿へ向かうため馬を走らせていれば、羽黒が並走するように飛んでいる。
馬の歩調を緩め、羽黒に目をやれば、その足に文が括り付けられている。
「信長様?」
それに気づいていない、蜜姫が不思議そうにこちらを見るが、今はそれを気にする気にはなれない。
羽黒を腕に着地させ、足の文を解いてやると、羽黒は再び並走する。
「文ですか?」
「ああ。」
信長は、その文を開けば、やはり想像通りの人物からだった。
「なんて?」
「ただのいたずらのようだ。読んでみるか?」
「・・・大丈夫です。」
聞いていた通りか。しかし、彼奴は本当に抜かりないようだな。
文には、概ね話した通りことが進んでいるということ。
文への返信は羽黒へ言葉での可否のみで良いこと。
蜜姫は文が読めないので問題ないが秀吉たちに見つかると厄介なので、読んだら燃やすように指示までされていた。
信長は文を懐にしまうと、羽黒には分かった。戻れと告げる。
少し、笑みを見せる信長に蜜姫は首を傾げるも、それ以上訪ねては来なかった。