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意のままに

第7章 “仕事”





「先ほどの戦いでできた傷を癒しに湯治に行く。」
「え!?」
急に話題が、すり替わり、蜜姫は戸惑う。


先の戦って・・・まさか、私のせい?


「蜜姫、貴様付き合え。」
「え!私がですか?!!」
「ああ、一緒に来て俺の身の回りの世話をしろ。」
「で・でも!!」
「お館様、そういうことでしたら、俺も・・・」
「お前たちは、各自の仕事に徹しろ。」
「「「はっ。」」」

「蜜姫大変だな。がんばれよ。」
「なつ、貴様も来るか?」
「行かん。」
「じゃ・じゃあ、私も行きません!!」
「貴様に関しては決定事項だ。」
「何でですか?!!」
「うるさい。貴様の意見など聞いてはいない。明日は夜明け前に立つ。しっかり準備しておけ。話は以上だ。」

信長は、さっさと席を立ってしまった。
「蜜姫、しっかり務めろよ。」
政宗が面白そうに声を掛け、他の武将たちはさっそく自身に与えられた命に取り掛かった。


蜜姫はそんな様子を見て、密かに脱走を決意する。
なつはと言うと、そんな様子に、笑みを浮かべながら光秀の処に向かうのだった。


「おい、光秀。」
「なつか、珍しいな。俺のところに来るとは。」
「フフ、蜜姫のヤツ、脱走を試みる気だぞ。」
「ほう、それはまた。」
ニヤニヤと笑い合うこの二人の会話は、端から見れば怪しいことこの上ない。
「おい、何を話しているのか知らんが、お前たちは2人だけで話すな!!」
「なんだ、秀吉。いたのか?」
「嫉妬か?」
「何に嫉妬するって言うんだ。」
「可愛いなつが自分を頼ってこないことにだろう。」
「・・・」
「確かに世話の焼ける妹みたいではあるがな。」
「だ、そうだぞ。なつ。」
「・・・こんな世話焼きの兄貴はいらん。」
「そう言ってやるな。秀吉の世話焼きは趣味だからな。」
「何が、趣味だ!」
「趣味だろ。それより、蜜姫が脱走を試みているようだぞ?」
「何?なら、荷物は纏めておこう。」
「俺は、お館様に報告してあれの逃走経路を見極めよう。」

こうして、蜜姫の逃走はあえなく失敗し、信長と湯治に出かけるのだった。

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