第6章 走り出す運命
「そうだな、では先ほどのため息の理由から聞いていこうか。」
光秀も、腹の底が見えない笑みを浮かべ、尋ねる。
「ああ、あれは貴方たちも察しはついているだろう?」
「秀吉か?」
政宗も面白そうに乗り出す。
「ああ、あの人たらしはどうにかしてほしい。」
「なんだ、意外と落ちるのは早かったな。」
「誰が、落ちたと言った。正直放っておいてほしいんだが、なんだかんだと世話焼きしてくる。」
うんざりだと、苦笑するなつの表情に何となく2人とも理解する。
「具体的に何が一番困ってるんだ?俺から秀吉に言ってやろう。」
「とか言いながら、遊ぶ気でいるのがバレバレだぜ?」
「そうだな・・・強いてあげるなら、着付けか。」
「「は?」」
「何度か城下へ下りたんだが、その度、着崩れを直される。」
それが不満だと口を尖らせる。
「「・・・」」
「どうした?」
「いや、それ、きっちり着るのが嫌ってだけか?」
「?ほかに何がある?」
「普通、男がしかもあの秀吉だぞ?困らんのか?」
「?・・・ああ、そっちか。」
「「・・・」」
「クク、こんな格好をしていて、誘惑ととられることも少なくはないからな。」
妖艶さを深めて笑うなつの心理は2人には理解できない。
私にとって、触れられることじゃないんだよ問題は・・・その後に見せる秀吉の表情のほうだ。