第5章 動き出す運命
「しかし・・・そうだな。どうしてもと言うなら市へ連れていけ。」
「は?」
突拍子もない発言に、秀吉は目を開く。
「クク、貴方の性格上何かしなければ。と思ってるんだろ?」
「それは・・・」
なつは的確に秀吉の心情を理解する。
「正直、退屈でな。それに、今までは疑いの目もあって自由に動けなかった。」
「わかった。なら、昼餉の後に迎えに来る。」
「ああ、楽しみにしている。」
その言葉に、秀吉は内心ホッとしていた。
なつはと言うと・・・
「早まったかもしれんな・・・」
先ほどの初めて見る、嬉しそうな秀吉の笑顔に毒づいた。
嫌な予感を振り切るように、頭を振り、縁側へ出て空を眺めていた。