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意のままに

第4章 真実と現実 ~秀吉side~



初めて見るなつの真剣な顔に、俺は思わず息を呑む。

「なつ?」
「多分・・・」
なつが口を開けかけた時、


「あ、もしかして待ち針?置き忘れたのかな?」

「「!!」」

蜜姫が放った言葉に俺も信長様も表情が硬くなったのが分かる。


「ああ、だが置忘れではないだろうな。」
なつは言いながら、その針に顔を近づけ香を確かめる。
「やはりな。トリカブトだ。」
顔を上げたなつの口元には、再び笑みが戻っていた。

「え?!」
「信長を殺すつもりで送ってきたのだろう。調べても無駄な気はするが、送り主を探るべきだな。それに・・・」
なつは酒の壺にも目を向ける。

「恐らくはこちらも毒入りだろう。」
「・・・悪かった。」
なつが話しているところに、俺は頭を下げた。

「それが、疑ってることに対してなら必要ない。」
俺の謝罪にさえ、なつはいつもの笑みを湛え言う。
「だが!!」
「そんなことより、やることがあるんじゃないのか?」
なつは俺の謝罪を流し、言う。
「ッ!!こちらの品々、お預かり致します。」
その言葉に、一刻も早くこれを送ってきた人間を炙り出さなければいけなかったと思い至る。

「ああ、早々にネズミを炙り出せ。」
「御意。失礼致します。」
なつに対してまともな謝罪も出来ていないが、俺は先ほどの品々を手に、家康や光秀の処へ行くため、その場を後にした。



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