第3章 真実と現実~2~
やり取りをしている2人を眺めていたなつは、ふいに鼻に突いた香に眉を潜めた。
「なかなかの物だな。」
「そうですね。お館様に似合うかと。」
信長が羽織ろうとした所を手首を掴み止める。
「お前は、また!!」
「止めたほうがいい。」
口元の笑みを消し、答える。
「なつ?」
「多分・・・」
なつが口を開けかけた時、
「あ、もしかして針?置き忘れたのかな?」
蜜姫の目にキラリと光るものが見えた。
「「!!」」
その言葉に、秀吉と信長は顔を合わせる。
「ああ、だが置忘れではないだろうな。」
なつは言いながら、その針に顔を近づけ香を確かめる。
「やはりな。トリカブトだ。」
再び、なつの口元には笑みが戻っていた。
「え?!」
「信長を殺すつもりで送ってきたのだろう。調べても無駄な気はするが、送り主を探るべきだな。それに・・・」
なつは酒の壺にも目を向ける。
「恐らくはこちらも毒入りだろう。」
「・・・悪かった。」
なつが話しているところに、突然秀吉が頭を下げた。
「それが、疑ってることに対してなら必要ない。」
秀吉の謝罪になつはいつもの笑みを湛え言う。
「だが!!」
「そんなことより、やることがあるんじゃないのか?」
なつは秀吉の謝罪を流し、言う。
「ッ!!こちらの品々、お預かり致します。」
「ああ、早々にネズミを炙り出せ。」
「御意。失礼致します。」
未だ、なつに対して納得していないような顔を向けながらも、秀吉は天守を後にした。
「あ、私たちもこれで・・・」
「ああ、蜜姫は下がれ。なつ、少し話がある。」
「え・・・ぁ、分かりました。」
少し、不満げな表情を浮かべながら蜜姫は天守を後にした。
残ったなつはと言うと・・・