第3章 真実と現実~2~
話をする間に、目的の場所にたどり着いた。
「お館様、少しよろし「信長、入るぞ。」」
秀吉が確認を取る声を遮り、なつが声を掛ける。
「なつか。入れ。」
その声に、信長から返答があり、なつはさっさと襖を開け、中へ踏み込む。
それを、呆けていた秀吉と蜜姫が慌てて追った。
「お前は!!」
「秀吉、良い。」
「しかし!」
「構わん。それよりも、面白い面子だな?どうした?」
信長がニヤリと笑いながら、手にしていた巻物を置く。
「ええっと、信長様にお届けするようにと頼まれて持ってきました。」
蜜姫がおずおずと持っていたものを差し出す。
「ほう、羽織か。」
言いながら、蜜姫たちに広げさせる。
「なかなかの物だな。」
「そうですね。お館様に似合うかと。」
秀吉の言葉に信長は口角を上げ、羽織ろうとした所を手首をなつに掴まれた。
「お前は、また!!」
「止めたほうがいい。」
口元の笑みを消し、なつが答えた。