第17章 決戦2
武田軍が待機している場所にたどり着けば、なつが言っていた通り、皆眠りこけていた。
「これは・・・」
「・・・お前たち、彼らを自害などしないよう後ろ手に縛ってくれ。」
「しかし・・・」
「頼む。俺は信玄様に生きてほしいんだ。」
頭を下げる幸村に、周りの兵たちが無言で動き出す。
作業を進めていれば・・・
進行してきた織田軍が顔を表した。
「これは!!」
「お前は!真田幸村じゃねえか。」
織田軍は、直ぐに戦闘態勢を見せるが・・・
「静まれ。」
「「お館様?!」」
一度、構えた幸村だが、信長の一言に無言で刀を降ろし、膝を就いた。
「「「「なっ?!!」」」」
「おい!真田、何の真似だ?」
「信長・・・様に悧月様より言伝を預かっております。」
「「「!!?」」」
もう、周りの武将たちはついていけず、この場を見守るしかなかった。
「ふん、貴様が膝を就くということは、全て彼奴の思惑通りか。申せ。」
事情を察したらしい信長は面白そうに笑う。
「予定通り。四半刻ほどで片を付けるとのことです。」
「つまり、軍神も収めたか。」
「・・・御意。」
「お館様、そろそろ教えてくださってもいいのでは?」
今まで、静観していた光秀が声を掛ける。
「戦線に行けば分かる。ここにいる武田の者たちも傷つけぬよう連れて行くぞ。」
「「「御意!!」」」