第17章 決戦2
幸村はその言葉に、息を呑む。
「・・・お前に下れば・・・」
「勿論、武田には同盟に近い形で話をつけよう。」
そう言ってなつは幸村から、一歩離れる。
少しの躊躇いを見せた幸村だったが、やがてなつの前に膝をついた。
「・・・よろしくお願いします、なつ・様。」
「いいのか?」
「信玄様の病が治るんだ、それに主君が変わろうと俺の忠誠は変わらない。」
謙信の問いに、顔を向けず言葉だけを返した。
「さて、上杉も真田も手中に収めた。」
「・・・さすがはなつ様。信長様の言葉通りになりました。」
「ふふ、信長とは今回のことについて、密に話していたからな。」
「なっ?!お前、仮にも主君のことを・・」
「信長様は、なつ様の振舞いをお許しになっております。我が主君は些細なことと申しておりましたが。」
「ふふ、信長の人を見る目は確かだ。さてそろそろ今回の最難関に挑むとするか。」
そう言うと、なつは馬に飛び乗る。
「ああ、謙信。余計な口出しは無用だ。」
「ふん。俺との同盟の話に関しては、違えるなよ。」
「分かっている。」
なつは、手綱を操り、最前線へと駆け出す。
幸村は赤備えを率い、その後を追った。