第17章 決戦2
「ふふ、私の勝ちだ。」
押し倒したと同時に謙信の首はなつの2本の刀が交差し動きを封じていた。
「ッ・・・何故殺さん?」
自分の上で笑みを浮かべるなつに苦虫を噛み潰すように呟く。
「私の目的は、殺すことじゃないからな。」
「どういう意味だ?」
「ふふ、貴方を殺したところで上杉の軍を和が主が掌握出来はしない。」
「・・・」
「なら、上杉の柱を掌握するほうが遥かに効率がいいと思わないか?」
「・・・殺せ。」
「嫌よ。だって遊び相手がいなくなったら、私もつまらないもの。」
「・・・」
「別に下れなんて言わない。同盟でいい。それならお互いに利が得られる。望むなら、月に1度手合わせの場を設けるのもいい。」
綺麗に笑うなつに謙信は暫し考え込む。
「・・・なら、お前が俺のものに・・・」
「悪いけど、それは無理。私の心にはもう男がいるもの。」
「のぶ「違うから。」」
謙信の上から、退き手を差し出して起こす。
「止めてくれる?あれは主であって私とは対等にならない。」
「・・・同盟の話、受けよう。」
「ふふ・・・上杉は堕とした。さあ、幸村、次は貴方の番。」
そう言うと、真田幸村に刀を向ける。
幸村は険しい顔で構えるが・・・
「なつ様。」
「おっと、時間がないな。手合わせは諦めるか。」
呟くと、あっさりと刀を下げる。
「どういうつもりだ?」
なつの仕草に、幸村はより一層、眉を顰める。
謙信はそのやり取りを静観している。
「コレ、なんだかわかる?」
そう言って懐から取り出したのは、薬の包まれた懐紙だ。
「?!!それは!!」
「ふふ、これ私が三つ者に上げたのよ。」
嗤うなつは、ゆっくりと幸村に近づく。
「貴方が私に下るなら、貴方の主の病、完治させてあげる。」
刀を向ける幸村に臆することもなく、幸村の頬を撫でる。
「なっ!!」
「言っておくけど、これは最終警告。受け入れなければ殺すわ。」
笑うなつは、最後の一言に、殺気を放った。
「私、気は長いほうじゃないの。利用価値のない物は早々に始末するのが私のやり方。」