第17章 決戦2
「この辺でいいか・・・」
「なつ様。我々はどうすればいいでしょう?」
「ああ、私の邪魔をしようとする向こうの兵は始末しろ。それ以外は、その都度、命を出す。」
「小娘、このような場所まで来て、どうする気だ?」
追いついてきた、謙信は不機嫌そうに問う。
「ふふ、遊んでやるといっただろう。こちらの兵たちはあくまで、私の邪魔をする者を排除するために率いているだけだ。」
「お前にそのような力があるとは思えんがな。」
馬から降り立つなつに合わせるように、謙信も馬から降りる。
「ふふ、油断は死に繋がるぞ?」
そう言うと、なつは地を蹴った。
キン・・・
上から斬りかかったなつの刃を驚いた様子で謙信が受け止めた。
「ふふ、相手に不足なし。精々楽しませて下さいね。」
一度、刃を離し、余裕の笑みを見せるなつは容赦なく斬り込んでいく。
受け止め徐々に反撃を見せ笑う謙信に、なつも笑みを深めるが・・・
「ッチ。ちょっと待て。」
「なんだ、降参か?」
「いや、おい。」
「何でしょうか?」
「ハサ・・・いや、刀を。」
なつは着物の裾に刀を当て、切り裂いた。
「「なっ?!」」
「うん、これでいい。」
裂かれた着物をさらに力任せに裂き、チャイナドレスのように深いスリットにする。
「さて、続きだ。」
ニヤリと笑うなつは、動きやすくなった足捌きで先ほどより速度を上げ、謙信に切り込んでいく。
謙信も、引けを取らぬよう攻め立てる。
「・・・どういうことだ。」
後から追いついた真田は、二人の決闘に似た場面に唖然とする。
「ああ、ようやく来たか。」
「余所見をするとは。余程死にたいらしい。」
笑いながら、刀を合わせる2人に真田はついて行くことができない。
「ふふ、真田、少し待て。もう少し遊んだら・・・相手をしてやる。」
「たわけが!この俺に勝てると本気で・・・?!!」
笑う謙信に、なつは笑みを深めると先ほどまで纏っていなかった殺気をまとった。
と、同時に一瞬怯んだ謙信の動向を見逃さず刀を思い切り弾き飛ばし、謙信に馬乗りになるように押し倒す。
「「「謙信様!!」」」
近づこうとした、上杉の兵たちを、織田の兵が止める。