第16章 衝突
「秀吉?!何故だ!!?」
旗印と先頭に立つ、秀吉の姿に、思わず声を上げたなつに皆が注目した。
「どういうことだよ?」
「どうしたんだい?秀吉なら信長の右腕。予想通りだろう?
」
「ふん、あれ一人か。俺が貰うぞ。信玄。」
「武田信玄、上杉謙信。よくもうちのなつを!!必ず取り戻す!!」
叫ぶ秀吉の眼は殺気に満ちている。
「さて、開戦といこうか。」
「・・・あの、ちょっと待ってもらっていいですか?」
「今更、何を言っている。」
「いえ、ほんの少しだけ、あれと話させてください。」
なつの覇気迫る表情に、4人は息を呑む。
「秀吉!!何故、お前がここに来た!!」
「はぁ?信長様の命に決まっているだろう。というか、お前助けられる側・・・」
「信長が、命じた?」
「「「・・・え」」」
「そうだ、信長様に何としてもなつを取り返せと。」
「・・・死んでも・・・か?」
「いや、お前を生きて・・・俺も必ず生きて信長様の元に戻る!!」
秀吉の言葉に、2人は暫く睨み合っていたがやがてなつの口元には笑みが戻る。
「ふふ・・・ふふふ。腹は決まったか。」
「お取込み中悪いけど、君はこちらから離れることは出来ないよ。」
そう言って腕を掴んだ信玄の手を思いっきり弾き、思い切り口角を吊り上げると高台から、飛び降りる。
「「「なっ!!」」」
3mほどの高さから綺麗に着地し、そのまま織田軍の、秀吉の隣へかなりの速度で駆け寄った。
「信玄。」
「・・・予定外だ。」
「お前は!!」
「馬を。」
「こちらに。」
秀吉の言葉を華麗に無視して声をかければ、先鋭部隊のものが馬を引いて秀吉の隣につけた。
それに飛び乗ると、なつは声を張り上げた。
「1刻だ!!1刻何としても堪え凌げ!!さすれば、織田軍の勝利を約束しよう!!」
「「「「ぅおおおおおおぉお!!」」」」
なつの一言に、一気に織田軍の士気が上がる。
「あーあ、これは簡単には落とせないかもなぁ。」
「ふん、面白い。」
「いいか、誰一人、欠けることは許さん!!必ず皆生きて信長様の前に再び頭を下げるのだ!!」