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意のままに

第16章 衝突




翌朝、上杉武田軍の本陣は緊張に満ちていた。

「準備は?」
「上々です。すでに配置に。」

信玄と三つ者の話を盗み聴きするなつの口元は歪んでいた。

「なつさん、顔が・・・」
「佐助。悪いな。これからのことを考えると楽しくて仕方がない。」
言いながら上を見上げ、また、笑みを零した。


どうやら、あの者は私の思惑通り動いたようだな。


「佐助、くれぐれも余計な手出しはするなよ。」
「努力するよ。」

「やあ、織田の姫君。そろそろ移動しようか。」
「え・・・信玄様、前線に連れて行くんですか?」
「傷つけはしない。だが、今回で終わりにしたいからな。」

信玄の言葉に、幸村は少し躊躇い頷く。

なつは信玄の馬に乗せられ、戦線の高台へ移動した。

「信玄、それ、必要なのか?」
「・・・」
「ああ、向こうでは信長だけでなく、他の武将たちも大切に扱っていたらしいからな。」
信玄の言葉に、謙信は顔を歪める。

「謙信様は戦うのが本当にお好きなんですね。」
「ふん、貴様には理解など出来ぬだろうがな。」

「ふふ、いや、好都合だ。」
「今、なんて?」
小声で囁いた言葉を拾えるものはいなかったが、雪村が音を拾い首を傾げる。

「いえ、また多くの血が流れるのかと。」
しおらしく答えるなつに幸村は眉を顰める。



「さぁ、お出ましだ。」

響く声に、皆一斉にそちらへ目を向ける。


「秀吉?!!何故だ!!?」


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