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意のままに

第3章 真実と現実~2~



訪れた転機。
それは、信長宛てに送られてきた品々がもたらした。

「ねえ、なつ手伝ってくれない?」
そう言って部屋を訪れたのは蜜姫だった。

どうやら、信長の元へ運んでほしいと頼まれたのだが量が多く、1人では運びきれそうになく、声を掛けたのだ。
「あぁ、確かに多いな。」
なつそう言い、酒の入った壺をを手に取った。

「え?!そっちは私が持つよ!!」
「気にするな。それより、そっちの着物と文の類は全部持てよ。」
「・・・ありがとう。」
言いながら、蜜姫は慌ててなつを追う。


天守までの道のりを進む角で、秀吉に出くわした。
「わっ!?」
先を歩いていた蜜姫は尻餅をつきそうになるが、それを秀吉が支えた。

「何してるんだ?そんな重いもの。」
「秀吉さん!実は信長様の処に運ぶ所なんです。」
「そうか、なら俺も行こう。」
言いながら、秀吉はなつの手から酒の壺を取り上げる。
「残りは2人で分けて持てよ。」
「で・でも・・・」
「秀吉も、信長に用があるのだろう。いいんじゃないか?」


慌てる蜜姫とは対照的になつは悠然と蜜姫の持っていた文の類を受け取る。
「なつ、俺のことはこの際どうでもいいが、お館様のことは改めろ。」
「断る。大体、信長本人から許しは貰っている。問題ない。」

「なつって怖いと思わないの?」
小声で訪ねてくる蜜姫に・・・
「それは、信長をか?それとも秀吉をか?」
本人のいる前で堂々と話すなつに蜜姫は内心冷や冷やしていた。
「えっと・・・両方。」
更に小声になっていった。
そんなやり取りを、秀吉は黙って聞きながら進む。
「クク、怖ければこんな口は利かんと思わないか?」
笑いながら、あっけらかんとした答えが飛ぶのだった。

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