第14章 決戦
「ほう?もう、動いたか。」
「「「え?」」」
光秀の言葉に、信長は面白そうに、口角を上げる。
「失礼ですが、信長様はなつが攫われるのは織り込み済みだったと?」
「ああ、最近雇った忍びからの情報でな。」
「忍び?」
「優秀な奴だ。既に、なつを追っているだろう。」
「なるほど。あの時、蜜姫ではなく、なつを連れて行ったのも、そのためですか?」
「どういうことだ?光秀?」
「なつが攫われるのは、信長様の中で前々から決まっていたということだ。」
「何?」
「へえ、それが本当だったら大分悪趣味だね。」
「しかし、何故、なつ様を?」
「彼奴が俺の女だと思われているからだろう。」
「なるほど。そう、見えるよう細工をしてたと言うわけか。」
「しかし、何故なつを?」
「本人も承知の上だ。何も問題はない。それよりも、明日には出陣する。お前たち、準備を急げ。」
「「「御意。」」」
「政宗、家康は城に残れ。」
「え?」「は?」
「お館様、2人を残すんですか?」
信長の言葉に、皆、驚きに目を合わせる。
「貴様らは、本隊出発の翌日に追うように安土を発て。」
「信長様?」
「良いか。今回はより相手を騙したほうが勝ちだ。それに、信玄は今、顕如と動いているようだ。」
「「「?!!」」」
「それも、”悧月”の情報ですか?」
「光秀。」
「もう、いいでしょう。ここで隠していても話が進みません。」
「お館様、悧月とは?」
「忍びだ。かなり優秀な、な。」
「俺も、悧月のお蔭で牢に入らず済んだしな。」
「は?」
「それよりも、家康、三成、政宗。出陣の手筈を整えろ。」
「「「はっ。」」」
信長の言葉に、3人は席を立った。