第3章 破滅【嘘】
『あ、あの…っ』
ロヴォフは、顔を上げたアイを足の爪先から頭の頂きまで舐める様に見やると
「ほぅ…?」と呟く
ゆるゆるとウェーブのかかった白銀の髪に
まるで空を模した様な青い大きな瞳
ぷっくりと桃色に色付いた形のいい唇
そのどれもがロヴォフの興味を引いた
ロヴォフ「…私と来い、お前には私に無駄な手間をかけさせたた罪をたっぷりと償って貰おう」
店主から引き剥がし、アイの肩を抱き寄せ耳元で厭らしく囁いた
ニヤリとほくそ笑むロヴォフに、アイは僅かに眉根を寄せ
『…はい』
と、か細い声でそう返事を返したのだった
「さぁ、早く乗りたまえ。これ以上ロヴォフ様のお手を煩わせるな」
「お、お待ち下さい旦那様方…!そのお嬢さんは今から大切な方とお会いになる約束をされているとか。せめて一目だけでも逢瀬を許して頂けないでしょうか!?」
『旦那様…その事はもう…っ』
心優しい店主が祈りにも似た思いでそう口にするが、返ってきたのはロヴォフの非情な笑い声だった