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白き翼【進撃の巨人】

第6章 破滅【完】


アイSide


『………ん』

目が覚めると、私に腕枕をしてくれていた筈のお父さんの姿は無かった

起き上がってすぅーっと息を吸い込むと、久しぶりに感じる父親の匂いに酔い痴れる

普段は親子の会話なんてする機会もなければ、こんな風に部屋で一緒に過した事なんて小さい頃以来の事だ

周りを見渡せば、相変わらず殺風景な部屋に変わらず置いてあるお母さんの肖像画

そしてベッドサイドには私の兵服が置いてある


懐かしいこの香りにもう少し包まれていたい、と思う私はやはりまだまだ子供なのかもしれない


エルヴィン「もう起きて大丈夫なのか?」

『うん、もう平気』

そこへパンとティーカップの乗ったトレイを持って、お父さんが帰って来た


エルヴィン「朝食のパンとお前の好きな紅茶を入れて来た。無理はしなくていい、食べれる分だけ食べなさい」

『ありがとうお父さん』

私が紅茶が好きな事を知ってくれていた

そして、パンにはベリーのジャムを乗せて食べる事も


『ふふっ』


エルヴィン「…?どうした、私の顔に何か付いているのか?」

『ううん。嬉しくてつい、ね』

エルヴィン「フッ、そうか」

『いただきますっ』

パクパクと食べ進める私を優しい眼差しで見つめるお父さん


そしてペロリと平らげた私を見て、お父さんは真剣な表情で口を開いた

エルヴィン「さっきミケ班が地下街へ向かった。動きがあれば直ぐこちらに連絡が来るだろう」

『いよいよね…』

エルヴィン「あぁ…連絡が来次第、私も合流する。お前も来るか?」

『勿論。ダメって言われても無理やり付いて行くつもりだったから』

エルヴィン「フッ、お前ならやり兼ねんな」

『ふふっ。でしょ?』

エルヴィン「いつでも出発出来るように準備しておくんだ、いいね?」

『はぁい』

優しい手つきで私の頭を撫でると、お父さんは壁外調査の準備があると言って再び部屋を出て行った



『…私も準備しなくちゃ』

残っていた紅茶を飲み干し制服に着替えると、私もお父さんの部屋を後にした



ミケ班からの連絡が来たのは、その二日後の事…
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