第3章 破滅【嘘】
ロヴォフ「フハハハッ!そうか、お前はそのリンゴを手土産に甲斐甲斐しく男の元に…!ハハッ、益々気に入ったぞ?お前…名は何と言う?」
『っ…アイ・アッカーマンと申します…』
アイは亡くなった母親の姓を名乗った
ロヴォフ「っ!アッカーマン…そうか。ハハハッ!今日の私は何とも運に恵まれているな。さて…長居し過ぎた、屋敷へ戻る。馬を出せ」
それを聞き、何故か上機嫌なロヴォフはアイの肩を抱きながら馬車へ乗り込む
その姿を店主は悲痛な表情で愛を見つめていた
「っ!アイさん…っ」
『………ありがとう…』
悲しげに瞳を揺らしながら微笑むアイは店主へ頭を下げた
ロヴォフ「…出せ」
「はっ!」
再びヒヒィーンと馬が鳴けば、ゆっくりと馬車は動き出す
「…っ!?」
そして最後に店主が馬車の小窓越しに見えたのは
俯きながら妖しく口角を上げるアイの姿だった
そう…全てはロヴォフの隣で人知れず妖しく微笑むアイが描いた
"破滅"のシナリオ通りだったのだ