第2章 破滅【序】
『ふふっ、どうしたの?そんな事言うなんてお父さんらしくないわよ?』
そんなエルヴィンを他所に、アイはクスクスと笑い出す
エル「らしくない…か。確かにそうかもしれんな…」
実の娘であり自分の部下でもあるアイに対し、普段は他の兵士と同様に
いや…
それ以上に厳しく接してきたつもりだった
だが今回ばかりは上司としての威厳よりも、父親としての気持ちがどうしても前に出ようとする
エルヴィンは、父親という生き物はこうも弱い生き物なのかと自嘲ぎみに笑った
『そんな事ないよ』
エルヴィンを優しく見つめるアイは、ゆっくりと首を横に振る
『私は小さい頃から自由の翼を背負うお父さんの背中を見て育ってきた…。だからお父さんの考えも良く分かるし、理解出来る』
"これが人類の為になるのなら、私は喜んで引き受ける"
そう笑顔で語った
その美しい笑顔に、エルヴィンは優しく微笑み返す
エル「ありがとう、期待しているぞ。アイ」