第8章 白い椿
私は幸村さんの腫れている右頬を手ぬぐいで冷やしながら聞いた。
優実「何で武田信玄様と殴り合いになったのですか?」
幸村さんは手ぬぐいを私から奪い取り自分の頬に再度当て言った。
幸村「俺はお館様に言われたまだ、己の気持ちを大切な人に言ってないのか? はいと言うと殴られ何時もの殴り合いが始まっていた」
己の気持ちって何だろうと私は首を傾げると幸村さんは私を見て顔を赤くして、手ぬぐいを水が入ったタライの中に入れて私の手首を掴み抱き寄せた。
優実「幸村さん?」
幸村「今は何も言わないで下さい」
しばらく抱きしめられているが幸村さんの匂いは私にとって落ち着く、自分の好きな人に抱きついていると眠くなる安心して。
十五分後に幸村さんは執務室へと行ってしまった頬の腫れは引いていた、私は自分の両手を合わせてまだ幸村さんの暖かい温もりを確かめた。
私は部屋へと戻り机に置いてある手紙に気がついたあけるとおじいちゃんからの手紙だった。
『優実へ
元気にしておるか? ワシは元気と言いたいところじゃが腰痛で動けん。 甲斐から書状か届いての武田信玄からじゃ、優実姫を甲斐の若虎を嫁に出してくれないか? その上で北条とは同盟を結ぼうと思っていた次第じゃ、ワシもいずれは老いるが幸村と優実姫の子供が男二人出来たら一人は、北条の主として渡す条件でどうじゃ? となワシは優実の幸せな生活をさせてやりたいんじゃ、だからの好きな人を一度一緒にこの小田原城まで足を運んでくれないかの? 甲斐の若虎じゃなくても、民でも流浪人でもいいから反対はせん。
北条氏政より』