第8章 白い椿
幸村さんは立ち上がり私に申し訳ないという顔をして言った。
幸村「申し訳ござらん、独眼竜との戦に行って参る」
優実「必ず生きて帰って来て下さい」
幸村「うむ」
一言だけ返事だけど私にとってはそれだけでいい生きて帰ってきてくれればそれだけで満足だよ。
幸村さんが戦に行って数日が経った、私は侍女の手伝いをしていると佐助さんが私の目の前に現れて言った。
佐助「戦で大怪我をしたが生きてる、意識はないが」
意識が無くて大怪我? 大変! それで今は何処に幸村さんはいるの?
優実「幸村さんは?」
佐助「そんな泣きそうな顔しないで旦那なら今甲斐に夕方には運ばれてくる」
夕方になり帰ってきて武田の家宝楯無の鎧の前で幸村さんは寝込んでいた、佐助さんが説明してくれた。
佐助「この武田家宝になっている楯無の鎧は誓いが狂うことなく、また怪我をした時に寝かしておくと怪我が治るって言われてるから、大将は大丈夫だよ」
炎が楯無の鎧を光が刺して不気味だけど幸村さんが助かるならいい、その後医者が来て『これだけ酷い怪我なのに生きているのは、奇跡といえるこの薬を塗っていれば治るじゃろう』と言って帰った。
私は幸村さんに薬を塗るため包帯を解くと血が滲んできた、酷い怪我痛い刀傷だよ頑張ってと心の中で思いながら塗る。
一ヶ月が過ぎた熱が出て医者は治ってきてる証拠だよと言っていた、私は水を汲んできて手を握り目を覚ますことを祈っていた。
ここ一ヶ月寝ていないが大丈夫だった体は眠くならなくて逆に軽い。
幸村さんが目を覚ましたのは夜中だった。
幸村「ここにずっと寝ずに優実姫はいたのでござるか?」
優実「はい」
幸村さんはすまぬという顔をして起き上がろうとして私はそれを静止させた。
無茶をして起き上がってほしくはないから次の日に刀傷は包帯を解くと、治っていた早いなんて幸村さんは生命力強いの。
私は無茶をした理由を聞いた。
幸村「俺は独眼竜に挑んだ結果槍が折れて刀傷を負った、そこへ佐助が止めに入った。 死んではならんと独眼竜に挑む前に言った、約束があるとけれど死ぬのは戦の常だから仕方ない。 佐助の止めで独眼竜が引いた、その瞬間に意識が途切れた」
宿敵同志いつか決着をつけたいと思っていることでしょうでも好きな人に死んではほしくないわがままかな?