第8章 白い椿
織田信長を倒して数日が経った春の陽気が、窓から漂って来た私は朝餉も終わって真田さんと縁側でお茶を飲んでいた。
最初に口を開いたのは幸村であった。
幸村「織田を倒す前に、侍女が辞めた人明美とか言う人が幸せになってねと俺と」
私は真田さんの真剣な顔を見て、言われた唐突な明美ちゃんからの伝言を聞かされ顔に熱を持った気がした、私は慌てて顔が熱を持っているまま真田さんを見つめていると言った。
幸村「熱でもあるのでござるか?」
優美「あの熱は無いですただ真田さんが恥ずかしいことを言ったからです」
真田さんも顔を赤くして言う
幸村「幸村と呼んでください、俺と優美姫はもう親しい仲でござるから下の名前で」
優美「はい幸村様」
幸村「幸村様じゃなく呼び捨てでいい、俺も優美ちゃんと呼びます」
少しは親しくなったのかな? 私はもう許婚はいないそういえば前の幸村さんがおじいちゃんに、対して言った言葉を思い出した『某は優美姫のことが好きだから嫁に貰いたい』嫁つまり恋の意味で幸村さんも好きって言ったこと、けれど私に対して『好きだ』とお互いに言葉を言ってはいない。
幸村さん直接愛の言葉聞きたいけど、きっと不器用そうだし言わないだろうなぁ私は俯いたまま団子を見つめていると幸村さんが言った。
幸村「さっきから団子を見つめてござるが、本当に熱は?」
すると私のおでこに手を幸村さんは手をやり熱を測り余計に熱を帯びる、顔が近い唇が触れそうな、距離幸村さんは不思議そうな顔をしている。
幸村「どうしたのでござるか?」
優美「熱は無いのでこの前のことを思い出して、うつむいていたのです」
幸村「この前?」
私は団子を口に入れた甘いいやこの空気が甘いのか? それとも幸村さんと一緒にお茶をしているからかな? でもそんな時間でさえ楽しい生きていて良かったと思える瞬間であった。
すると佐助さんが庭で膝待つき現れた。
佐助「大将出陣の時間だ独眼竜が甲斐に向かって来ている」
幸村「なに? 本当か? ならば全兵士に伝えよ戦の用意を即刻しろと」
佐助「御意」
佐助さんは消えてしまった。