第4章 ありふれた日常
風呂から出て、リビングのドアを開けると
しょーちゃんの背中が、ソファー越しに見えて
当たり前みたいに、タオルを被ったまま、隣に座った
「はー…
さっぱりしたっ」
「……」
腕を組んだまま、
ニュース番組を見てるしょーちゃんは
気のせいかな
何となく、ぎこちない
「……しょーちゃん?
あのさぁ、俺ね」
「そうだ。話そうと思ってたんだ」
「え、と…なに?」
タオルを肩に掛けて、
言おうとした言葉を飲み込んで
流した視線の先、
しょーちゃんは、やっぱり俺を見ようともしない
「…こと、なんだけど。
絶対、俺らのことバレんなよ」
「そんなの、わかってるよ」
「それから……」
変な間が開いて、
漸く、しょーちゃんと目線がぶつかる
今日は……機嫌悪いみたい
「わかってんならいいよ。
アイツ、今時の女子高生にしちゃ、男に免疫ないしさ?
ちょっと浮かれてるみたいなとこあるけど、
適当に受け流しといて」
「う…ん…?」
回りくどい言い方だけど、
それって、
"手ぇ出すな"って事だよね……
「わかってるって」
俺が、そう応えると
しょーちゃんはまた、テレビに向き合って
隣にいるのに、俺なんかいないみたいな空気を醸し出す
なんなの…?
嫌なことあったの?
自分の部屋だから、
自然でいたらいいって思うよ
だけどね、しょーちゃん
俺らは、中身のない関係だから、
居心地悪いんなら、一緒にいる意味なんか、何にもないんだよ
潮時ってことだね
お金も、どうにかなりそうだし
しょーちゃん、素直に現してくれないけど
ホントは優しいから、行き場のない俺を、追い出せないんだ
「しょーちゃん、
俺さ?
そろそろココ、出てくね」