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【S×A】だから人生は素晴らしい

第4章 ありふれた日常






「しょーちゃん、
お願いっ」

「わりぃけど、そーゆう気分じゃないんだわ」

「ずっと我慢してたのに?」

「んなコト言われてもさ…」

「ホラ、中見てよ?こんなにトロトロなんだよ?」

「イヤ、もう0時回ってっし……さすがにさ」


「ちょっとだけ!ね?」

「なっ、ちょっ…ヤメッ///」




年度末は予定が立て込んで、連日残業続きだった


気付けば日も変わっていて、身体の疲れもピークに近い


接待で飲んだ酒が抜けないまま、どうにかタクシーで帰って来たのに……


リビングに入った途端、
マサキが黒目をウルウルさせて、近寄って来た




「ヤダ!食べてっ!」




馬鹿力で腕を捕まれ

無理矢理、口内に押し込まれたのは





「ねっ?おいしい?」





今までで一番の"最高傑作"

マサキ特製オムレツで…




「味なんかわかんねーよ。ちょっと酔ってるしさ」


「もーっ!見てよ!
中は半熟トロトロで、すっげー上手く焼けたんだからね」

「あー、ホントだな」

「お腹空いたの我慢して、しょーちゃん待ってたのに!」

「ごめんごめん」






言いたい事は山程あるけど、頭はガンガン響くし


さっきから、睡魔が襲ってそれどこじゃなかった




「朝食うから……」

「もーいいよ。
俺がぜーんぶ、食べちゃうもんね」




ガキみたいに頬膨らませて、

ふたり分のオムレツを勢いよく平らげると、荒々しい音を立てて、片付け始めた





すっかり慣れた後ろ姿

俺のスウェットも、いつしか共用してて

若干、丈が短く見えんのが、腑に落ちないけど



不思議な関係だなって、今更思う

シラフより、案外冷静に考えられんのかもな




「なぁ怒ってんの…?」




ネクタイを緩め、
ソファーに身体を預けると

バリアを張った背中に聞いてみた





「……ってないよ」





ぼそっと聞こえた応えに満足して


重い目蓋をそっと閉じる


マサキが本気で怒ったことなんか一度もない




どんなキツイ言葉も要望も、

結局…受け入れてくれる




「なぁ、マサキ
朝食うからな、俺」






洗い物の音しか聞こえないけど、わかってるから



決して朝は強くないお前が、
ちゃんとオムレツ焼いて起こしてくれんのは



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