第3章 First Love
パパもママも、
出来のいいお兄ちゃんと
私を比べてばっかりだったから、
いつの間にか避けるようになった
ホントは、
大好きなのにな
久しぶりに来たマンション
お兄ちゃんは、大学を出てから独り暮らししてる
器用に見えて、片付けや掃除が苦手だから
ママと何度かしか来たことないけど
日曜日だから……寝てるかな?
覗いた腕時計はお昼を回ったとこ
途中で買った、お気に入りのベーカリーのサンドイッチ片手に
ママから預かった鍵で、オートロックを解除した
エレベーターに乗って、お兄ちゃんの部屋の階を歩く
インターホンを押して、
久々だから、少し緊張して息を吐いた
なかなか反応がない
仕方なく2度のインターホンを押して数秒
ガチャガチャと音が響いて
勢い良く、ドアが開いた
一瞬
時間が止まった
見開いた瞳と
思考がついてかない
「あ、れ……?」
ど、して……、なんで?
「ちゃん?…なんで……?」
私のが、聞きたいよ
なんで…?
寝癖のついた頭をグシャグシャしながら、
驚いた顔してる
また、会えるよねって、
思ったけど
こんな急に、こんな場所で再会するなんて
「びっくりしちゃった!
しょーちゃんとも知り合い?
ちょっと待ってね、起こしてくるから」
バタバタと廊下を走り、
部屋の奥へ消えた背中を見つめて
玄関先で動けないまま
抑えきれない鼓動が
バクバク鳴り出す
反則だよ
いい女になって、
再会してびっくりさせようって思ってたのに
こんな急だなんて
なんにもら準備出来てないよ
……嬉しい、けど
始まりの季節
私の恋が加速した
ーfirst loveー
次章に続く……