第3章 First Love
いくつものお店に入って、
数えきれないほどの洋服を着て、
たまに店員さんに睨まれたりしながら、鏡越しに目で笑った
お腹空いたら、ハンバーガー頬張って
ミルクたっぷりのカフェオレと
マサキさんのブラックコーヒー
テーブルに並べてるだけで、嬉しくなる
澄んだ青空の下
手を繋いで歩く度に距離が縮まった気がして…
マサキさんが、私の歩幅に合わせてくれてるのに気付いて…
あったかい気持ちでいっぱいになった
やっぱり…
マサキさんって
華奢な体型や、
顔がタイプってだけじゃなくて
声とか、
雰囲気とか、
好きだな…って思う
不思議だね
私、マサキさんのこと、何にも知らないのに……
「ちょっと寒くなってきたね」
日が落ちてきて
一気に気温が下がって
白い息を吐きながら、マサキさんが笑う
「……うん」
自然と小さくなる声
こんな、形だけのデート
暗くなる前に、
おしまいだもんね……
“じゃあね。バイバイ”って、軽く言われちゃうのかな
あったかい気持ちで満たされてた心は
しゅわしゅわとしぼんで、
空気の減った風船みたいになってく
重くなる足取りを感じながら、
俯き加減な私に
相変わらず弾んだ明るい声が響いた
「ね、最後にさ…
あそこ……行こっか」
指さした視線の先には
立ち並ぶビルの中
赤色の観覧車が見えていた