第3章 First Love
「こんにちは」
背後から声を掛けると、
振り返ったマサキさんは、直ぐに笑顔を見せた
手にしてた吸いかけの煙草を、足下で消して
「行こっか?」
笑顔と一緒に、当たり前に差し出された左手に
一瞬躊躇しながら、そっと重ねた
歩き出す横顔を見上げながら、マサキさんに話し掛ける
「ど、どこ行くの?」
「え~?」
クスクス笑いながら、わかんないよ…って答えるマサキさんに
思わず吹き出した
「なに?何で笑うの?」
「だって、行こっかって
手…繋いだから…どこかあるんだと思った」
だって今だって、手を繋いだまま、どんどん歩いてる
「決まってないけど。
黙って座ってても寒いし……ほら?手ぇ繋いだら暖かいじゃん。ね?」
「……」
暖かくて、おっきな手のひら
嬉しい…けど
慣れてるなぁ……なんて
なんか複雑
「ねぇ、彼氏いいの?
俺とデートなんかしちゃって」
「いいよ。フラれちゃったもん」
「……ホントに?
やっぱ、連絡なかったの?」
「…うん」
嘘ついた気まずさに俯くと
可哀想って思ってくれたのか、ぎゅっと手のひらに力が籠る
「そ…、っか……。
じゃ、元気出るとこがいっかぁ……」
考え込むような横顔が、素直に嬉しくて
黙って見つめる
「とりあえずブラブラしよっか」
太陽みたいな笑顔
手のひらから伝わる温度
並んで歩いてるのが、嬉しくて……
自然と笑顔になった