第3章 First Love
平日の今日、デートの約束をしたけど
学校は?、なんて
マサキさんは聞かなかった
部屋に閉じ籠ったままの私に
ドア越しでママはボヤいていたけど、
それだけで、
どこかに出掛けてしまった
私の行動を
今の年頃に有りがちな反抗期で、全て片付けてるみたい
別に……いいけどね
誰もいない家
せいいっぱいのオシャレして、
待ち合わせ場所の公園まで急いだ
ちょっと前の私なら、
学校をサボってデートなんて有り得なかった
変身したみたいな頭が、
私を変えてくれるんだって、勝手に信じてる
お気に入りのベージュのワンピースを着て、ふわふわのファー付きコートを羽織る
髪は緩くシュシュで纏めて
普段は隠した耳にも、
小さなハートのピアスを付けた
少しだけ、メイクして
ピンクのグロスを塗って……
“可愛い”って、思って貰えるかな……
途中で、ショーウインドウに全身を写して、
確認したりして、
ドキドキして、早く会いたいのに、
ちょっと不安になったり
こんな感覚、初めてだ
曲がり角で深呼吸
髪を撫で付けるように整える
足下から、ワンピースの裾をチェックして
約束の公園に入る
いつものベンチ
黒いダウンを着た後ろ姿
真っ直ぐに見つめながら、近付いた