第3章 First Love
デート出来るって思った途端に
ドキドキして、
ますます顔なんか合わせられなくなった
「えっと、んじゃ……どこ行く?」
「……」
どうしよう
いきなりすぎて
そんなのわかんないよ
黙りこんだりなんかして、
マサキさん、絶対変な子だって思ってる
なんか、言わなくっちゃなのに
気持ちばかりが焦ってく
「今の若い子って、
どこでデートするもんなの?」
「え…?
普通に映画とか、カラオケ…遊園地とか?」
「ふーん。俺らのときとあんま変わんないんだ」
感心するみたいに、へー、なんて声を漏らして……
「マサキさんは……
何処に行ったりするんですか?」
「俺、デートってしないしなぁ~」
「…彼女さんと、
しないんですか」
「しないよ。彼女なんていないし」
デートに誘っておいて、矛盾してるけど…
彼女……いないんだ
「あ…でもさ
俺、こんなん持ってた」
苦笑いしながら、
スーパーの袋を持ち上げて見せた
「ホントだ」
「それにさ、俺。
お金ないし、どこも連れてけないよ?」
「私っ、あの
どこでもいいですから!」
大きな声を上げたから、
マサキさんは、クスクス笑ってくれた
「じゃあさ?
別の日にする?俺、
今日はカレー作んなきゃなんないし」
「はい!
あの、じゃ、連絡先っ」
ちょっと図々しいかな、って思ったけど
せっかくのチャンスだから、思いきって聞いたのに……
「ゴメンね~
俺、ケータイ持ってないの」
笑顔で軽くスルーされちゃって……
やっぱり、子供扱いされてるのかなって、思った
連絡先とか知られたくないんだよね?
だけど……
「明日にする?
いつにする?」
なんだっていい
デート、出来るんだもん
「明日がいい」
軽くあしらわれてるだけかも知れないけど、
子供だから、
気付かないフリをした