第3章 First Love
ほんとは、ちょっとだけ
泣きそうだった
パクっと、メロンパンを頬張りながら
何にもないフリしたけど
隣同士に座って、おんなじメロンパンを食べてくれるから
気持ちが、ふわんと暖かくなる
「また貰っちゃって良かったの?」
黙って、コクッと頷くと
ありがとって、優しい声が返ってきた
「お礼、したいんだけどさ~、
あげれるようなもんないんだよね~」
傍らに置いたスーパーの袋を、ガサガサしながら……
「ニンジンとジャガイモ……いらないよね?」
「…それ、買ってきたんでしょ?」
「そう!カレーに挑戦しようかなって!」
「じゃ、あげたらダメじゃん」
「だね(笑)」
この前は、ネギ…だったし……
今日は、ニンジンとジャガイモ
彼女に作ってあげるのかな?
でも、マサキさん……
この前も昼間にここで会ったし、仕事してないのかな
メイドなんて冗談だろうし
あれ…かな
彼女さんに養って貰ってるとか?
そう思いたくはないけど、
パッと見の軽そうな印象や、警戒心のなさも……
そうだったら納得いくかな……なんて
「ごちそうさま〜」
「あ、はい」
「今日はさ?学校休み?
可愛いカッコしてるしさ」
「……」
「あ、もしかしてデート?
俺、邪魔しちゃった?」
ゴメンねって、ごそごそと帰る準備を始めるから
私のが焦ってしまった
「す、すっぽかされちゃったみたい。
代わりにっ……」
私の言葉に、
黙って耳を傾けてくれるマサキさんに、
思い切り、勇気を出した
「デートしませんか!」
ピタリと動きを止めて、
しばらく黙っていたマサキさんは
“俺なんかでいいの?”って、笑顔を見せた
“俺なんか”って、
マサキさんがいいんだよ…って、言いたかったけど
恥ずかしいから、
目も合わせずに頷いた