第3章 First Love
いつの間に、隣に座ってたの……?
メロンパンの入ってた袋を折り畳んで、鞄に押し込むと警戒しながらその人を見た
よほどお腹が空いてたのか、パクパクと勢い良くかぶりついて……あっという間になくなってしまった
最後のひと口をモグモグして、親指を舐めると、ジッと私の鞄を見つめる
「え…?ちょっ、
もうないから……」
「なあんだ!残念」
そう言って……鳩に向き合うと
おいでおいでと話し掛けてる
なんなの……この人
派手な金髪
だらしないカッコ
いい大人よね?
こんな真っ昼間にナニしてるわけ?
「……なに?」
途端にそう言って振り向かれたから、ドキッとしてしまう
不審に思ったの、伝わったかな……?
だって、
こんな女子高生相手に、パンをねだるなんて
怪し過ぎる
鞄を手にして、
この場を去ろうと立ち上がった瞬間
スカートを引っ張られる感覚に、ギクリとする
「きゃ…っ、ヤダ…!」
「ちょっと、待ってって!」
パニックになりながら、
どうにか逃げようと思いっきり身体を捻ると
ビリビリと厭な音がした
サーッと
血の気が引くのがわかる
やっぱり変態だ!
「動くなって…!」
ヤダヤダって、
抵抗する私の腕を掴んで
ぐっと肩を押さえつけらると
無理矢理ベンチに戻された
「やぁっ…何っ」
「だから、動いちゃダメだって!」
「…っ…?」
半泣きになりながら、視界に入ったのは
困った顔した、不審者で……
「スカート!
ベンチから出た釘に引っ掛かってるって…」
「!…ほんとだ」
短く裾上げしたスカートが、裂けるように破れてる
ホッとしたのは一瞬で
途端に物凄く恥ずかしくなっちゃって……
だって、パンツ見えちゃう
コートの丈じゃ、隠れないし……
「ねぇね?
針とか糸、持ってないの?」
「そんなの、持っ……」
そう言えば
口煩いママが、女性のたしなみだとかなんとか……
鞄を開けて
記憶のはじっこにあるケースを探すと
「あった……」
ピンク色のケースを、彼に見せると
目尻にシワを寄せて
無邪気な笑顔を向けた