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【S×A】だから人生は素晴らしい

第1章 Look at the skies







「はい!お待たせ。
しょーちゃん、出来たよ!」


「……待ってねーし」




ボソッと呟いた嫌味にも



アイツは、笑顔を崩さない






白い皿に乗った、歪なオムレツは

この前よか、幾分マシだ




椅子に座り、渡されたフォークを受け取った




「あ!ケチャップサービスしちゃうね」

「メイドかよ(笑)」





身体を折り曲げ、
ケチャップを絞り出す手を目で追う




「これなんだよ」

「気持ち」



不細工なオムレツに
ケチャップで書かれた、歪んだ文字




“ありがと”




語尾の“と”なんて
オムレツから出ちゃってるし



「おいしい?」



だから。なんで、そんな笑顔見せんだよ


お前、俺に見下されて
利用されてたのに……


何にも言わないまま、
次々にオムレツを口に運んだ


お世辞にも、
美味いと言えないオムレツは



だけど、

なぜか、ひどく懐かしい気がして……




「ごちそうさん」

「うん。じゃ、片付けるね」



空になった皿を下げ、シンクに運ぶヤツの姿は


もう、2度と、
見ることないだろう

















「……マサキ!」





ビクンとヤツの肩が揺れ、

その拍子に落ちた皿が、バラバラに割れた






驚いて振り返るヤツの顔


戸惑いを含んだ瞳


だから、俺は……




どうして呼び止め、コイツを呼んだ?







やっぱり運命だって、
お前は笑うんだろうな








「それ…
その皿、すげぇ高いんだ」

「しょーちゃん?」


「だから、弁償して貰わなきゃ困る」




散らばった破片を拾い上げ、


ヤツを睨む




「まじで?ほんとに?

これ、なんまんえんとかすんの?」


「なんじゅうまんえんだったっけな」





うわうわ、どうしようって、真っ青になりながら

パズルみたいに割れた皿を集めてる




「金、ないならさ?
洗濯とかメシとか世話するか……身体で返すしかないよなぁ」





意味わかんないって顔して、俺を見つめる



俺だってわかんねぇよ



わかんねぇけど



気付いたら、口にしてたんだ




仕方ないだろ






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