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【S×A】だから人生は素晴らしい

第8章 ハリボテノシロ





数本のビールの入ったビニール袋を片手にコンビニを出ると、

ポツポツと降り出した雨が、さっきよりも若干強くなり始めてて

肩を竦め、足早に歩き出す。





テーブルに並んでた好物が頭を過ぎり、お腹が鳴った。


明日は休みだしな。
今日はこれからの事ゆっくり話して……アイツの本音も聞き出そう。



マサキは優しすぎるから、いつだって自分の事は後回しで。


俺の事ばっかり気遣いして、きっと沢山の事を抱え込んでる。





2度と同じ過ちを。後悔を繰り返さないように、

ちゃんと、幸せを掴まなきゃ……









古びた街灯に照らされた薄暗い路地を進む。


アパートまであと数分。







「……」




雨に混じって背後から響いた、自分じゃない足音に気付く。







違和感に足取りを緩め、振り返ろうとした瞬間。


ドン、と強い衝撃を受け、その勢いに道端に追いやられた。





同時に、腰から響く鈍い痛みに、

膝から崩れ落ちて

縋るように目の前の脚を掴んだ。







頭上から降る荒い息。

暗くて顔はよく見えない。







「……ハァ、ハァ……ッ

マサキが悪いんだ……」




マサキ…?




「やっと……これでもう、

マサキはオレだけのモノだよね……」





誰だ……?


ゆらりと近づいた人影に目を凝らす。

マサキの知り合い……?





頬を滑る、男の指先。


視界に映った不気味な笑顔が、途端に強張る。





「なん、…で……お前……

オレのマサキは……っ!?」




突き飛ばされ、その場に転がる俺を見下ろし取り乱す男は、

ブツブツと何かを唱え

そして、ゆっくりと俺に視線を戻した。





「……そうか、そうだよ。

マサキが悪いんじゃない。

お前に騙されてるんだ。

これ以上俺達の邪魔をするのはやめてくれ……!」







街灯の下

俺の血で染まったナイフが、振り翳された。






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