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【S×A】だから人生は素晴らしい

第8章 ハリボテノシロ






古びたドアの磨りガラスからは、明かりが漏れ、同時にいい匂いも漂ってる。


インターホンを押すと、直ぐに足音は近付いて、中からドアが開かれた。





「おかえり。しょーちゃん。
ちょうどね、ご飯出来たとこ」

「ただいま。
今日のメシなに?」



ネクタイを緩めると
肩の力も自然と抜け、仕事モードから一気に解放される。



「着替えて待ってて。
お味噌汁温め直すから」



目の前の後ろ姿を思わず抱きしめると、小さく笑って振り返った。




「準備出来ないって」

「出来るだろ」

「もー、ちゃんと手洗ってきてよ」




仕方なく首に回した腕を解いたのに、

言葉とは裏腹に手首を掴まれ、近付いた唇が頬を掠めた。





「……なんだよ」

「んー?
おかえりのちゅー?」

「…お前、ずりぃわ」




そのまま腰を引き寄せ、弧を描いた唇に唇を重ねる。





「ん、ぁっ…」

「なんなのお前、今日エロい…」

「いつもと変わんないよ。

とりあえずご飯にしよ」

「ちぇー…」



勝手に煽られて、このまま1回戦突入したい気持ちをグッと抑え

言う通りにその場を離れた。




……とりあえず腹ごしらえしてから、だな。






「やっぱりお前、今日エロい」






見下ろしてた顔が、意味深に笑い
ぐっと腕を引き寄せられ

あっという間に上下逆転すると、オスの目をしたマサキが唇をペロリと舐めた。





メシを済ませ、風呂から出ると
当たり前の流れでベッドになだれ込む。

いつも通りと言われればそうだけど、違和感が過ぎるのは何故だ。




「……しょーちゃ、

ん、は……ね、俺のこと…っ、好き?」

「っ、は……なに……?」

「答えて」

「好きだよ」

「……俺も。大好き」




何度もこうして身体を重ねて

色んなこと乗り越えて……

コイツのどんな顔だって、俺はすべて知ってると思ってたのに




「変なヤツ……

なんで、笑ってんのに泣いてんだよ」

「……ふふ、なんだろね。

幸せだからかな」

「……ばかだな」







泣いてるマサキの顔を引き寄せ、啄むようにキスを交わす。





俺といることに、どれだけの覚悟を持って今を過ごしているかなんて、


俺はまだ本当には理解してなかったんだ。







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