第7章 願うのはひとつ
こんな風に過ごすのはどれくらいぶりだろう。
誰にも邪魔されない。時間さえ存在しない空間。
「なんか…さぁ~
腹減らねぇ…」
「ふふ、それちょっと前も聞いたよ。
だからそろそろ起きようかって言ったじゃん」
「…そーだっけ…」
毛布と一緒に俺の身体を引き寄せて、ぎゅうっと力を込め
優しく抱いてくれるしょーちゃん。
擽ったい温もりに身体を丸め、瞳を閉じる。
さっきからそれの繰り返し。こんなんじゃいつになっても起きられない。
「……部屋、探そうか」
「え…」
「ホテル暮らし続けるわけにもいかないし、
狭くったっていいからさ。それから
仕事も探そうと思ってる」
「…うん。
しょーちゃん、俺も仕事探すね」
「……変なのは、ダメだからな」
「変なの?」
くるりと身体の向きを変えて
しょーちゃんの顔を斜め下から見上げる。
「ホストとかそーゆうのだよ」
「ふふ、変なのね。
…わかってるよ」
少しの嫉妬や束縛も、好きな人が相手だと嬉しい。
しょーちゃんの胸に顔を埋めて、わざとぐりぐりと擦り寄ると
擽ってぇな、って笑いながらまた抱きしめてくれた。
ねぇ、しょーちゃん。
こんな甘ったるい時間がさ、ずっとずっと続けばいいね。
しょーちゃんもそう思ってくれてるといいな。