第6章 終わりの足音
「……どうって、…なにその質問…」
しょーちゃんの目が、俺を捉えて離さない。
冗談なんかじゃない。
怖いくらいの眼差しに、
鳴り出した鼓動が聞こえてるんじゃないかって……
静かに息を飲んで、泳ぎそうになる瞳を必死で堪える。
……どうしてそんな事聞くの。
「翔さん…なに、言ってるの……」
彼女が俺としょーちゃんの視界を遮り、
怒りを露わにして、声を上げた。
それさえ無視して俺の答えだけを待つしょーちゃん。
ぎゅうっと握り締めた掌は、知らないうちに汗を掻いてる。
「マサキ」
ビクンと揺れた肩は隠しようもなくて……
だけど、そんなの、言えるわけない。
「俺は……」
口を開いたと同時に逸らしかけた顔が
確かに響いた言葉で
引き戻された。
「俺は好きだよ。
お前のこと」
耳奥に飛び込んだその言葉は、
幻なんかじゃない。
翔ちゃんの強い眼差しに、さっきまでなかった優しさが溢れてて
俺は、
途端に溢れ出した涙を、拭うことさえ出来なかった。