第6章 終わりの足音
“ピンポーーーン…”
……どれくらい眠ったんだろう。
眠れない日々が続いてたせいか、久しぶりの感覚。
だけど、それが長かったのか短かったのかさえ曖昧で……
現実と夢の狭間を行ったり来たりしてた。
確かに響いた気がする機械音に耳を澄ませる。
“ピンポーーーン…”
も一度響いて、現実なんだって確信すると
意識を手繰り寄せながら、怠い身体を起こした。
モニターに映る、知らない男の人。
用がある人かも知んないし……そう思って応答すると
「こちらに相葉雅紀さんは居られますか。
依頼されて、貴方に会いに来たのですが…」
「……」
ドクンと大きく波打った心臓は、予想外の答えだったから……じゃない。
“依頼されて…”
淡い期待を何処かで抱いてる俺がいて
そんな自分に嫌気がさした。
「……あの、何か
用、ですか……」
「とにかくお会いしたいと仰っているので……」
「……でも俺は、」
一方的に場所と
日にちと時間を告げられ
部屋はまたシンと静まり返る。
ぎゅっと握りしめたシャツの胸元
その奥で響く心臓は早鐘を打ったまま……
自分から離れる事を選んだくせに、
俺は何処まで卑怯なんだろう。
また、他人のせいにして、
貴方に会えるかも知れないって……
ねぇ。しょーちゃん。
其処に貴方がいる保証なんて、何処にもないのに
期待してしまう俺は、ホント
大バカだよね……