第6章 終わりの足音
カレーライスを食べ終わると、
直ぐに片付け始めたマサキの背後に、明日の予定を話し始める
これが最近の恒例で
それに合わせて、片付けやらメシの用意をしてくれてる
ホント、嫁だな
「明日は朝から会議だし、残業になると思うから
メシの用意はしなくていいよ。
お前も片付けばっかだと疲れるしさ、たまにはどっか遊びに行ってきたら?」
「……ありがと。
うん、そう…しようかな」
自分で提案してナンだけど
その返事が返って来るとは思わなかった
“いいよー。暇だし!
片付けやっとくから!”
なんて。てっきりそう言うと思ったのに……
煙草に火を点け紫煙を燻らしながら、訳のわからない感情を有耶無耶にする
「あ、そー言えばさ……」
洗い物を終えたマサキが、濡れた手をタオルで拭きながら
俺の座るソファーの隣に腰を下ろす
「…しょーちゃんの婚約者さん。
すっげー美人だね」
「…なんだよ。いきなり」
「イヤ。さすがしょーちゃんだなって思って」
「……」
無邪気に笑う、その笑顔
単純に溢れただけの台詞なのかも知れないけど……なんだこの違和感は
「あ、そーだ。
お風呂入るよね?沸かしてくる!」
目線を背けたように見えたのは気のせい……か?
「ああ。頼むわ」
呑気な鼻歌にそうであって欲しいと願う俺は
やっぱり何処がで、
コイツからの確実な言葉を待っているのかも知れない
「なぁ、一緒に入る?」
戻って来たマサキにそう言うと、
あまりにさらりとかわされ、冗談めかして笑って見せたけどさ
結構、本気だったんだけどね俺は
捌け口みたいに抱いたあの日から、
アイツの身体に触れてない
ガキじゃねぇんだから、
そんな欲求不満なんてこと、最近感じる事なかったのに
やっぱり可笑しいわ俺