第5章 答えは始めから決まってる
カーテンの隙間から覗く夜
明かりも付けない部屋の中と
同化してくみたい
吐いた溜息も宙に溶けて
このまま、此処に居ることが当たり前に出来たら
それはそれで、幸せだって感じる俺がいるんだと思う
でも、そう思ってるのは
何も持たない俺だけで
しょーちゃんは、この生活に終わりがあるからこそ
今を大事にしてくれてる
ちゃんと未来を見据えてるから
最善が何かってことを、ちゃんとわかってるから
だから今日も、ひとりで待ってんだ
寄り道みたいなこの同居が、
ひとりきりの俺をいつか支えてくれるって思うから
気まぐれでも、俺といたいって人がいたんだよ、って
……ピンポーーーン
鳴り響いたインターホンに反応して、カーテンを閉めた
部屋の明かりを点け、ゆっくり廊下を進みドアを開ける
「ただいま」
「…おかえり」
俺と目を合わせた瞬間の、ホッとしたような笑顔
喜んじゃいけないってわかってんのに、胸が震えてる
愛の言葉やセックスなんかじゃなくて
ホントはこんな些細な喜びを、俺は求めているのかも知れない
だから、しょーちゃんが鍵を置いていかない所為にして
仕方ないフリしてここに居るんだ
ホントにね
俺らは何がしたいんだろう