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【S×A】だから人生は素晴らしい

第5章 答えは始めから決まってる






無邪気に、俺との結婚を喜ぶ彼女に違和感しかない


俺の中身も知らないのに、迷いはないのだろうか


それとも彼女自身も
政略結婚紛いのことを納得して育ってるのか





「翔さん。私のことは
アリサって呼んで下さい。藤堂なんて苗字じゃ堅苦しいから」

「イヤでも…」

「ね?お願い!」





自分の容姿を熟知してるような媚びた表情

きっと彼女は、拒否されたことなど
一度もないのだろう



「じゃあ、アリサさん。

よろしくお願いします」

「……まぁいっか。我慢する」



父親に言われ、彼女を車まで見送る


運転手がドアを開けると、車に乗ろうとして


もう一度振り返り、俺を見上げた






「翔さん。

もしかして、好きな人いる?」

「…え、イヤいないよ」

「そう、なんだ?

なかなか返事くれないからいるんだって思ってた」



マサキの顔が掠めた自分に内心苦笑いする

好きな人だなんて……確かに今、一番距離が近いとこにいるのはアイツだけど



「今度、何処かに連れてって欲しいな。
翔さんのお休みいつ?」

「…ちょっと直ぐにはわからないので、
予定を見てこちらから連絡します」

「待ってます」




彼女の返事に頷いて応えると、

バイバイって無邪気に手を振るから、
第一印象よりは幼い立ち振る舞いに少しだけ気が抜ける

ある意味、彼女は被害者だよな

いくら俺の外見を気に入ってくれたとしても

俺の中身を知ったら

同じ様に想ってくれるわけないから






アイツ……

今日もちゃんと待っててくれるだろうか





子供染みてるって自分が一番わかってる

スペアキーを隠して、
アイツが留守に出来ない様に仕向けて

アイツの優しさに漬け込んで、くだらないことしてさ




もう少し

せめて、もう少しだけ

俺と一緒にいて欲しい



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