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【S×A】だから人生は素晴らしい

第5章 答えは始めから決まってる








ノック音にも反応せず

自分の部屋のベッドに潜ったまま、その日を過ごした


誰が何度呼ぼうとも、返事さえしない私に

ママはドアの向こうでヒステリックに叫んでたけど、今はシンとしている。やっと諦めてくれたみたい




今朝まで眠れなくて、あれだけ泣いたのに

それでも、涙は枯れることを知らない




喉奥も熱くって苦しくて、瞼だって痛いのに……


一度泣き止んでも


考えたくもないのに、勝手に過る光景がまた、涙を連れて来る




マサキさんとお兄ちゃん…


いつから、…そういう関係だったんだろう


私が知らないだけで、私が出会う前からふたりは付き合ってたのかな


そうだよね。だから、一緒に暮らしてたんだ


マサキさんは、お兄ちゃんが好きなんだ






世の中には、そういう恋愛があることは知ってる

悪いことだとは思わない。

だけどそれは、自分に関係ないから考えてもなかっただけ




まさか自分の身内が……自分の恋した相手が

そうだったって事実は、そう簡単に受け入れられそうにない






嫌いに慣れれば問題ないのに

そんな単純じゃないよ



ちゃん、って呼ぶ
マサキさんの鼻にかかった優しい声が好き


お日様みたいな明るい笑顔が好き


マサキさんの過去も、何もかも私は知らない


それでも、知りたいって思う。彼のことなら何だって受け入れたいと思う



……そう思うけど

ふたりが本当に想い合っているのなら、
私はどうしたらいい?


運命だって信じた気持ちを諦めなきゃならない?


いくら考えたってわかんないよ


会いたいのに、会えないなんて


これも運命だっていうのなら、神様はなんて意地悪なんだろう





どうしてよりによって


お兄ちゃん、なんだろう





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