第5章 答えは始めから決まってる
毛布を引っ張られて身体を丸めたけど、
外気に触れた肌が寒くって意識が覚醒してゆく
薄く開けた視界
カーテンの向こうには、白みがかった青空が広がっていて
身体を捻らし、時計に腕を伸ばせば
針はちょうど12で重なってた
通りで明るいはずだ
こんな時間になってるとは思わなかった
そういえばお腹も空いたなって、裸のままのお腹を摩りながら
隣で寝ているしょーちゃんを覗くと、まだ瞼は閉じたまま
……良かった。ちゃんと寝れてるね
寝付けないみたいで、何度も身体をキツく引き寄せられたり
目が合おうものなら、キスが始まった
結局、ふたりしてマトモに眠りについたのは朝方だったんだと思う
そーっとベッドから抜け出そうと、しょーちゃんに背中を向けたら
いきなり手首を掴まれてビックリした
「どこ行くんだよ」
「……そろそろ起きようかなって思って」
「行くなよ」
「……だって、お腹空かない?」
「腹減った」
「ホラ(笑)」
半分寝たままの顔で小さく頷く
子供みたいでなんだか可愛い
「シャワーしてくる。
お前は?」
「うん。先にコーヒーのスイッチ入れとこうと思って」
バスルームに向かう、しょーちゃんの後姿にそう答えて
自分はキッチンに向かう
テーブル上に置いた、見覚えのない買い物袋が目に入る
中身はいろんな食材が入っていて、
まるで今から食事の用意をするかのような……
「先行くぞー」
「あ、うん」
しょーちゃんが帰って来た時、こんなの持ってなかったし
俺だって知らない
もしかして……って思った
他にココに来そうな人……
もしかして、俺ら……見られた?
驚かせた…よね
いや、きっと傷つけた
少しでも幸せな気分でいた自分に嫌悪感が芽生える
やっぱりココに長く居てはいけない
実家に帰ったしょーちゃんが、早く帰ってきたことも
俺に理由があるのかも知れない
コーヒーメーカーをセットして、食材を袋ごと冷蔵庫に突っ込んだ
パタンと扉を閉じ、その場に蹲る
……まだ大丈夫
今なら引き返せる
俺は誰も、本気で好きになっちゃいけない
愛することなんか止めてしまおうって、
決めただろ……