第4章 ありふれた日常
気付いたら窓の外は
明るんだ青空が広がり始めてた
鏡の中の私は、いつも以上にブスで、悲しくなる
散々泣き腫らして
瞼もヒリヒリするくらい赤くなって
……少しも眠れなかった
時計の針は6時を指そうとしている
ママはまだ寝てる
顔も合わせたくないし、
今日はきっと外出自体を認めては貰えないだろうから
今しかないと思った
ベッドからそっと身体を起こし、着替えて出掛ける準備をした
誰にも見つからないように家を飛び出す
会いに行かなきゃ……!
お兄ちゃん、マサキさんに何か言ったりしてない?
大丈夫だよね。お兄ちゃんだって
マサキさんのいいとこ、ちゃんとわかってる
朝ご飯用意して起こしたら、
ふたりともびっくりしてくれるかな…なんて思って
コンビニに寄って買い物した
私もオムレツに挑戦してみよう
トーストと美味しいカフェオレを入れよう
デザートは、りんごとヨーグルト
簡単な物しか作れないけど
喜んでくれるといいなって、
思いついたサプライズに、ちょっとだけ気持ちが明るくなる
持ってたスペアキーで、そっとドアを開けた
こんな早朝じゃ、まだ寝てるよね
きっとふたりで遅くまで飲んでたかも知れないし
無理矢理起こしたら、
ドライブ行きたいって、お兄ちゃんに甘えてみよう
3人で出掛けたら、きっと楽しいはず
音を立てないよう気を付けて、廊下を歩きリビングに入る
シンと静まり返った部屋は、微かな煙草の匂いがした
荷物をテーブルに置くと
飲みかけの缶ビールと洗ってないグラスが目に入って…
ソファーには脱ぎっぱなしのジャケットが放置されてる
男ふたりだと、こうなっちゃうんだなってコッソリ笑って
開いたままのドアを閉めようと、その部屋に近付いた
足元に落ちたバスタオルを拾って
顔を上げた視線の先
目の前の光景と思考が追い付かなくて
ただ、呆然と見つめた
鳴り始めた心臓が
破裂するんじゃないかって速さで騒ぎ出して
本能的に、見ちゃいけないものを見てしまったってわかって
その後は、
どうやってここまで来たか覚えてない
カタカタ震える自分の掌を握りしめて、
私は公園のベンチに座ってた