第4章 ありふれた日常
取り合うみたいにふたりでシャワーを浴びて
窮屈な浴槽に、重なって入った
くだらない話でバカみたいに笑って
逆上せるだろ、って
慌しくバスルームから飛び出す
大型犬を扱うみたいに、バスタオルで拭き合って
なだれ込むようにベッドにダイブして、戯れる
「ちょーっもぉ、しょーちゃん
冷たいってー」
「知らねー(笑)」
組み敷いた身体を見降ろすと
濡れたまんまの髪から滴り落ちた水滴が
マサキの頰を伝う
ぽたり、ぽたりと次々模様を作って
マサキの顔がぼんやり霞んでく
「……しょーちゃん、
髪乾かさなきゃだね……」
落ちた水滴を拭うことなく
そう言ってマサキは、俺の頰に触れ
首に腕を巻き付けると、ギュッと抱え込んだ
俺より高めの体温に包まれ
優しい心音に瞼を伏せて
心の奥が軽くなるのがわかる
もう少しだけでも
こんな時間が続けばいいのに
いっそこのまま
永遠に
夢の中にいれたらいいのにな