第4章 ありふれた日常
マサキの怪我もだいぶ良くなり、
変わり映えのない毎日が過ぎて行く
俺も冬季休暇に突入して、がウチに来る頻度も増した
そんな時だ
たまには帰って来なさいと煩く言われ、思わぬ物を見せられた
「この方はどういった関係なの?」
数枚の写真には、マサキが写ってた
コンビニ帰りらしい、ひとりだけのものもあれば
と並んで楽しそうにしている写真
「可笑しいと思ったのよ。
ちゃんが貴方の処にばかり行きたがるから」
「この方、どう見たってマトモじゃないもの。
貴方の品格まで疑われてしまうわよ」
苛立ちを隠し、心配するように諭すけど
わかってるよ
父さんに知られたら母さんが叱られてしまうことも
家に傷がついては困ることも
「もしかして貴方、なにか脅されたりしてない?
ちゃんだって、きっと誑かされてるんだわ」
「そんなんじゃないから!」
慣れてるはずだった
諦めてるはずだった
俺に自由はないんだって
今までもそうだったから……
俺の言葉は少しも汲み取っては貰えない
「彼と付き合って、貴方に何かメリットはあるの?
今に本性出すわよ。お金渡してみなさい。そしたら…」
「いい加減にしてくれよ。
母さんを困らす様なことはないから」
悔しかった
それは目の前にいる母さんだけにではなく
出会ったばかりのマサキに対して、俺も同じことを思っていたからだ
「調べさせたら、一緒に住んでるっていうじゃない。
もし誰かに知られたら…」
ここで何かを言い返しても、伝わる相手じゃない
「ちゃんとわかってるから。…放っといて。お願いします」
他人行儀に頭を下げ、
数時間しか過ごしてない実家を後にした
真っ直ぐに自分のマンションに戻り
鍵もあるのに、インターホンを押し続ける
開いたドアからは、驚いたマサキの顔が覗いた
「しょーちゃん?
今日は泊まってくるんじゃなかったの?」
「ちょっと予定が変わったんだ」
笑ってみせたつもりだけど、俺は笑えているのか
すると
靴を脱いで廊下を進み出した俺の背後から
マサキは覆い被さるように、抱きしめてきた