• テキストサイズ

【S×A】だから人生は素晴らしい

第4章 ありふれた日常






「わり...、下手で...」



口元を腕で拭いながら、

マサキを、見上げ、思わず零れた言葉



謝るのも可笑しな気がしたけど、

何も言わない無言の間の方が怖かった



行為で温度は感じても、

気持ちは冷え切ったまま


こうして一緒にいるのに、酷く距離を感じる






「風呂、入る...」



ボソッと言い捨て、
向けられた背中に、慌てて声を上げた




「片手じゃ大変だろっ、

手伝うからっ...」




聞こえたはずなのに、なんの反応も見せないまま、
バスルームに向かうマサキの後に続く




壊れ物を扱う様な自分に、違和感は否めないけど

正解なんかわからなくて

ただ、放っておくわけには行かなかった





いくら傷口を塞いで、薬を飲んだからって

いつも通りとはワケが違う



脱衣所には、無理矢理脱いだのか、

脱ぎ捨てたままのシャツが落ちていて


それを棚に上げると、
一応、“入るぞ”と声を掛け、ドアを開けた




湯気が立ち昇る中、

視界に飛び込んだマサキの背中



相変わらず華奢だなと思いながら、
左肩の痣を目線で辿る



俺の存在を無視した

シャワーを浴び続ける姿に、思わず腕を伸ばした




/ 212ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp